圧巻のアクアタルカス
このオーケストラ版タルカス で、特に感銘を受けたのは、最終楽章のアクアタルカス。それまでのあわただしい雰囲気が一転、威風堂々たる歩みが開始される。演奏が安定してきたことも手伝い、おもわず聴きいってしまった。テーマの前半は ショスタコービッチの交響曲第五番 の終楽章のそれを想起させるものがある。みるみるうちに巨大な音の大伽藍が目の前にかたちづくられていくさまは、まさに圧巻。
奇妙なことに、この演奏を聴いたのちに本家本元である ELPのCD をかけてみると、この楽章に関してはオリジナルのほうがオーケストラ化のためのデモバージョン、もしくはオーケストラ版のパロディのように思えてくる。他の楽章については、やはりオリジナルのほうが優れているという考えに依然としてかわりはないものの、この楽章だけは、吉松氏の編曲の方がオリジナルなのではと錯覚するほどの見事な出来なのである。特にボレロが終わりタルカスのテーマが再現されるところなどは、はじめからオーケストラ化されることを予期して作曲されたとしか思えないほどの圧倒的な迫力がある。これは、もはや現代のクラシックではないだろうか。
また、エンディングにも注目したい。私は、あの「21世紀の精神異常者」のそれを想起し、一種の感慨を覚えたものだ。プログレッシブ・ロックの原点ともいえるあの曲とこの瞬間しっかりとリンクしたのだと。
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